紀伊山地の霊場と参詣道が世界遺産に登録された。道を要素とする文化遺産は世界で二例目だそうだ。一番はシルクロードかな?それにしても、子供の頃に遊び回っていたところが、世界遺産に選ばれるなんて。そういえばいまはなき、大きな声の紀州連合のメンバーが言っていたような。それにしても富士山をさしおいて、こんなに早く選ばれるとは夢にも思わなかった。
子供の頃、よく自転車で那智山にのぼり、滝を見に行った。途中舗装道路を行かず、自転車をおいて近道を歩いて登った。そこを通るたびに、この道は自分たちだけの秘密の道というような高揚感を覚えた。そこがなんと熊野古道であることは後から知った。熊野大社へと近づいてくると、うっそうとした杉木立ちの間に石畳が階段となって敷かれている。鎌倉時代のものだそうだ。
この那智の山の奥まったところに、日本一高い那智の滝がある。これが海からも見ることができ、麓の町勝浦の教会からも10センチくらいに見える。滝壺まで行くことができるが、その勇姿と轟音に時を忘れる。ところがこの滝は「一の滝」で、その山奥深く全部で48もの滝があることはほとんど知られてないであろう。 長い間閉鎖されていたが、10数年前に修行道場として復活したと聞いている。
もちろん、一般の人間は立ち入り禁止。ただ、小学生の頃友達と「二の滝」まで行った覚えがある。それがもう一つの記憶では、柵の端を迂回して侵入し、いくらかは登っていったが、真右に見えた「一の滝」の轟音とその高さにびびって途中で引っ返した記憶も残っている。「二の滝」を見たという記憶は、那智銅山後を探検したときのようでもあるし、これだけは自分でもどっちの記憶が正しいかわからない。ただ、時々思い出すように夢想すると神秘の世界を飛翔している気分になる。皆様も一度、神秘の国紀州へどうぞ。
|
|
No.430
|
|