笑顔が絶えない世界を祈る

                                    

金光新聞2003.4.6 5面 読者のひろば欄

辻井篤生 44歳/和歌山県勝浦教会

 私は2月14日から3日間にわたって行われた、沖縄戦没者の遺骨収集と清掃活動にはじめて参加しました。
 
 沖縄本島最南端にある摩文仁(まぶに)の丘の自然壕(ごう)からは、次々と出てくるご遺骨やメガネ、かばん、石鹸箱などが見つかりました。それらを目の当たりにした時、私は背筋がぞっとして震えが止まりませんでした。
 
 この場所で亡くなられた方々にも、親や子、友があり、夢や笑顔があったはずです。この壕に追いつめられて、何を思い、何を信じていたのでしょうか。

 沖縄の人々を守るべき日本軍が、県民を壕から追い出し、泣く赤ん坊を殺させたしたのです。ひめゆり学徒隊などの多くの学生たちが、日本の兵隊を守るために死んでいったのです。

 私は壕の外で、自身の無力を感じ、もんもんとしていました。その時、白布に集められたご遺骨の上に、黒アゲハチョウが現れました。そして長い時間、何度も何度もその上を旋回したのです。

 前日、那覇教会長の林先生から、「沖縄では黒アゲハチョウに霊(みたま)様が宿って戻ってくると言われている」とお聞きしていました。
 
 私は霊様がここに来られていると直感しました。そして、自分の無力をおわびしながら、同じ過ちは絶対に繰り返しません」と誓い、「いつまでも笑顔が絶えない世界に」と祈らせてもらいました。

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