金光教人を生きる

                                    

わかば第558号 1994.9月号 35頁 明日への展望

                      辻井篤生(和歌山県勝浦教会在籍教師)
 
  私が、御用を頂いている金光教東京寮は、願い・精神の中心として「金光教人としての生き方を通して、広く世界人類に貢献する」を掲げています。現在、大学生男女24人(内教師子弟6人)が在寮していますが、金光教に対してどういう考えをもっているかについてアンケート調査をしてみました。
 
 調査では、概ね、信心の大切さや金光教は素晴らしい宗教との認識をもっています。また、教団に対しての意見として、「せめて金光をこんこうと読んでもらえる知名度がほしい」「教義をしっかりし、社会に本数の価値観を打ち出すべき」、「真の平和を願うなら、他の宗教と協力し、NGO(非政府組織)活動を推進すべきである」、「本教の使命をはっきりさせ、社会的存在意義のある教団にしなければならない」、「もっと布教すべきである」等かなり積極的な意見が多くありました。しかし、「金光教について他人に話しますか」との質問では、「絶対に話をしない」と「布教する」の両極は共に0人でほとんどが「開かれれば話をする」という回答でした。積極的に本数の行事に参加する人でも、学校やバイト先で住所を書く時に、金光教東京寮と書くことを躊躇(ちゅうちょ)するとの声が多かったのには少々驚きました。

 それは、一部の宗教がマスコミ等にスキャンダラスな形で報道され、宗教といえば、変人に思われるとか、偏見をもたれるのではないかとの恐れから、なるべくなら知られたくないという心情があるようです。
 また、「金光教は布教活動をせず、真実が自然に広がってきたところがよいところである」と考えている人もいます。その考えも、一部他教団のように、なりふり構わず押し付けたり、「信心しないと罰があたる」といった、脅しの宗教と同じにみられたくないという心情があるようです。

 以上、全体的には金光教の信心、布教は大切であると思うが、一人ひとりのところでは自信がないという状況でありますが、しかし、なんとかこのお道を伝えたいという気持ちをもっています。

 こうした状況の中で私は、魅力ある場作りとそこに魅力ある人間が集う環境づくりが大切であると考えています。若者に特に魅力があるという内容は、内輪だけの交流を中心に考えるのではなく、外を意識した活動、つまり社会問題を視野にいれるような活動で、その中で神様を発見できていくものがあります。

 現在東京では、青年が主体となった国際協力や平和集会等の社会活動、布教センターや連合会主催の公開講演会等の布教活動、国際センターの外国人との交流等の行事が行われていますが、寮生もだんだんに企画段階から参画しています。

 そうした中で、東京寮においても、寮生が主体となって「地域社会の中での東京寮」との願いのもとに寮祭を開催し、近隣にチラシを配布し、金光教を少しでも理解してもらおうとの動きができてきています。わずかではありますが、寮の行事やセンターの行事に未信奉者の友達を連れてくるということができていることはうれしいことです。

 今後の願いとしては、現代社会の問題を見据え、世の難儀を救うといった理念をもった活動の中で、金光教人が自覚され、情熱をもった、いきいきした青年活動がさらに多彩に展開できればと考えております。
                    

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