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東京学生寮 8月の月例祭・食事会

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8月の月例祭・食事会は、食事当番も少ないところからコストコで調達しての食事会となり、写真を取り忘れました。白桃の写真は岡山県出身のH君ご実家からお送り頂いた白桃です。超美味でした。ありがとうございました。それを301号室のBさんが撮影してFBに投稿されたものを拝借いたしました。失礼。

 今月も私が祭主・教話の御用をさせて頂きました。以下に概要を記します。

 ここのところ、金光大神の信心に基づく「自立的自由人」の道の道たる道を間違わずに歩むには「神様のものさし」を持って頂きたいと話をしてきている。神様のものさしとは、私たちが生きている世界は目に見える世界ばかりではなく、目に見えない世界を見る道具であり、大切なものの見方である。

 例えば皆さんは、なぜお墓参りをするのか。これは単に亡くなられた方を供養するものではなくて、亡くなられた方を「覚えている」ということ。お墓に参って手を合わせ、「おかげ様でまた一年無事で元気で生かしてもろうております」とお礼し、「今後ともどうぞお守りくださいませ」とお願いする。つまり、私の命は親のまたその親のご先祖様から続いてきている私の命の存在根拠である。それを忘れていませんと。

 そこにおかげ様でという感謝の気持ちが生まれる。最近は子どもに迷惑をかけたくないとか、経済的理由で葬式の簡略化や「墓じまい」といってご葬儀やお墓の存在を軽視する傾向が強いがとんでもないことである。これは単に合理化や簡略化レベルの問題ではなくて、人間社会、文化の根幹のところが否定され、人間社会が成り立たなくなる人間崩壊を招く程の問題だと思う。

 近代合理主義はこの目に見えないところを軽視したことでかなりひずみが出てきている。全ての言動が自分から始まり、自分で何でもできると考えている。そこに人間の過信が生まれ、過ちを繰り返している。

 私たちは自分からではなくて、自分はどこから来たのか、その存在の根拠を知ることによって、感謝の念が生まれ、謙虚に改まった生き方ができていく。「おかげ様、お互い様でお先のどうぞ」の3つの「お」の一番の根本である「おかげ様」という心持ち、態度が自立的自由人の姿である。

 今甲子園では熱戦が繰り広げられている。ある時、アメリカの大リークが「日本の高校野球はなぜ強いのか」を知るために調査団を日本に派遣し、地方大会からずっと調査研究してまわったそうである。そこでの一番の疑問が一回負けたら終わりというトーナメント方式である。アメリカでは全く理解できないそうだ。

 この疑問に日本の高野連の幹部が、日本の高校野球は「負けに学ぶ」ためにやっていると答えたそうだ。つまり、全国4千高以上の参加高校のなかで、勝ち続けるのは一校だけ。ほとんど全てのチームは負ける。負けに学ぶとは、一言で言えば「勝って驕るな、負けて挫けるな」であると。

 将来を嘱望され、負け知らずで順風満帆にきた子が、過信によって怪我なので挫折し、そのまま立ち直れなくなってしまった例を少なからず見たきた。現代社会も合理主義的な考え方で、この世界は人間の見えるだけの世界で成り立っていると考え、人間は自分で何でもできると過信し、自らの首を絞め難儀に陥っている。

 私たちは自分から始まっているのではなくて、自分はどこから来たのか、その元を尋ねることが大事。そこにおかげ様の心、謙虚な態度が生まれ、よりよい生き方ができていく。そのお道を確かに歩んでいって頂きたい。