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平和主義から非戦主義へ

bun[1]

 すべての戦争は平和と正義を掲げて始まっている。太平洋戦争開戦の詔勅にも「世界ノ平和ニ寄與」し、「東亞永遠ノ平和ヲ確立シ以テ帝國ノ光榮ヲ保全セムコトヲ期ス」として始まっている。平和主義では戦争を止められないがゆえに絶対非戦主義をずっと唱えてきた。平和主義では真の平和はできないのだ。

 最近「積極的平和主義」なる言葉をよく聞く。安倍総理が好んで使っているようだ。おそらく『新・戦争論―積極的平和主義への提言』という本あたりから出てきていると思われるが、読んでないので本当のところはわからない。

 積極的平和主義とはよく言ったものだと思うが、これも平和を掲げて軍事力を前面に出す考えだろう。世界の平和学では、ノルウェーの政治学者ヨハン・ガルトゥングが、平和=戦争のない状態と捉える「消極的平和」に加えて、貧困、抑圧、差別などの構造的暴力がない「積極的平和」を提起した概念が通説だろう。

 平和はただ戦争がない状態だけではなく、貧困や抑圧、差別がない世界を積極的平和とした。似ても似つかぬ全く次元の違った考え方であろう。皆様はどう思われるか。私は「積極的平和主義」は結局は過去の教訓を踏まえず、軍事力に頼るしかない世界が永遠と続いてしまう考え方だと思う。これでは真に戦争はなくならない。

 何度も紹介してきたが、戦争プロパガンダ10の法則というのがある。太平洋戦争もイラク戦争もあらゆる戦争がぴったりあてはまるのでは。よくよくかみしめたい。
(1)「われわれは戦争をしたくはない」
(2)「しかし敵側が一方的に戦争を望んだ」
(3)「敵の指導者は悪魔のような人間だ」
(4)「われわれは領土や覇権のためではなく、偉大な使命のために戦う」
(5)「われわれも誤って犠牲を出すことがある。だが敵はわざと残虐行為におよんでいる」
(6)「敵は卑劣な兵器や戦略を用いている」
(7)「われわれの受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大」
(8)「芸術家や知識人も正義の戦いを支持している」
(9)「われわれの大義は神聖なものである」
(10)「この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である」

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