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夢見る使い捨て労働者

 こんにち、グローバル化により、日本のみならず世界のあちこちで、賃金、立場、教育機会など様々なところで格差が拡がっているという指摘がなされ、その影響が東京寮にいる学生たちにも押し寄せてきている。 

 パラサイトシングルという言葉を生みだした東京学芸大学の山田昌弘教授は、その著書『希望格差社会』で、最大の問題は「量的格差(賃金など経済的格差)」、「質的格差(職種やライフスタイルの格差)」から「心理的格差(希望格差)」へとつながっていることであると指摘している。つまり、「苦労しても報われない」という希望喪失によるやる気の放棄である。

 かつてフリーターという言葉はそもそも「正社員になる実力があるけれどもならない」という非常に格好いい華やかなイメージの言葉であり、そうでない失業者は男性は「ぷー太郎」、女性は「家事手伝い」と呼ばれていた。しかし、いまやフリーターは正社員になりたくてもなれない人か仕方なくやっているのである。前述山田氏は、そのフリーターのことを「夢見る使い捨て労働者」という何とも悲しい表現で呼んでいる。(つづく)

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