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自衛隊の軍隊化は、時代の逆行。

 安倍首相が昨日の参院本会議での各党代表質問で、憲法9条について、「シビリアンコントロール(文民統制)の鉄則や憲法の平和主義、戦争放棄を変えるつもりはない」と言いながら、「自衛隊は国内では軍隊と呼ばれていないが、国際法上は軍隊として扱われている。このような矛盾を実態に合わせて解消することが必要だ」と憲法改正への意欲を示した。

 戦争放棄を変えるつもりはないなら、9条を変える必要もないのではないか。国際法上の矛盾だけでは到底理由にはならないのでは。外国がみんな軍隊なのだからうちも軍隊にするという主張は、例えば自分の子どもが「友達がみんなスマホに買い換えてるからうちも換えようよ」という主張と同じではないか。ことはスマホでなく軍隊である。 
 
 自衛隊の軍隊化は時代の逆行だ。世界は二度の大戦を経て、その経験から戦争違法化へと向かってきた。憲法9条の精神は、1945(昭和20)年に突然生まれたのではなく、ましてやアメリカから押しつけられたものでもなく、私が生まれた1959(昭和34・立教100)年よりさらに30年前にさかのぼる1929(昭和4)年のパリ不戦条約第1条にその原型がある。

「 第1條
 締約國ハ國際紛争解決ノ爲戰爭ニ訴フルコトヲ非トシ且其ノ相互關係ニ於テ國家ノ政策ノ手段トシテノ戰爭ヲ抛棄スルコトヲ其ノ各自ノ人民ノ名ニ於テ厳肅ニ宣言ス」

 ところが、この条約を事実上初めて破ったのが何と日本なのである。1931(昭和6)年の満州事変、その後の上海事変、支那事変と宣戦布告なき武力発動を行った。「宣戦布告をしてないので戦争ではない。よって不戦条約に違反しない」との論理からである。だから「事変」と呼称した。

 がゆえに、第2次大戦後の国連憲章では、戦争という言葉さえ使用せず、さらに厳しく「武力による威嚇又は武力の行使」も慎むべきとなり、その精神が憲法9条へ受け継がれたのである。

 その戦争違法化への道程の中で、厳しい世界情勢によってやむなく自衛隊を置いているのがいまの現状であり、進むべきは軍縮、軍備撤廃による真の平和である。自衛隊の軍隊化は時代の逆行であり、国防軍への憲法改正は必要ない。

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