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もらえる物はとりあえずもらう

 ご本部布教部時代、ある方が「これもう使わないからあげる」と言われたが、遠慮して丁重に断ったことがあった。結構高価なものだったと記憶している。

 それを見ていたある年輩の先生が近寄ってきて、「辻井君、もらえるものはとりあえずもらっておいて、しかる後にどうするか考えればいいんだよ」と。

 なるほど、仰るとおりと思った。しかし、内心それでは物はたまる一方で、捨てるということはなかなかできないしとも思っていた。

 そしてあるとき閃いた。といってももう相当後ではあるが、先生の真意に気がついた。先生は物について仰ったが、これは物だけではなく、人の話もそうだと。

 「人の話はよく聞いて、一応それを腹に入れて、そのなかから善いものと悪いものとをえらぶがよい。初めから聞かないで拒んではいけない。また聞くのはよいが惑ってもいけない」という文章に出会ったからだ。

 なるほど物だけでなく、何でもとりあえずは受けていく。私は初めから聞く耳を持たないことはないが、いろんな相談事を受けるときに、ついつい聞くということがおろそかになり、我慢できずに説教になってしまうことがよくあった。

 これでは、結局その方にとって何の解決にもならず、真の助かりもない。まずは腹入れする。物ももらう。この精神が大事だとあれから30年近く経って改めて思う。

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