« | »

東京学生寮6月の月例祭・食事会

6月1日、東京学生寮集会室において、松本佳子先生ご祭主による月例祭が仕えられ、引き続き教話(後掲)を賜り、その後食事会を開催した。このたびの食事会は、日本人3人によるローストチキン(コストコ)、キャベツの千切りとキムチを乗せたプルコギ丼とサラダ、留学生によるパエリア、コサージュと盛りだくさん。寮生みんな大喜びし、懇親を深めた。

 

教話
今日は、まず最初にひとつの和歌を紹介させていただきます。

「春風に似たる心を持ちたしと 吹く春風に吹かれつつ思ふ」

6月になって、もう春風の季節は過ぎてしまいましたけれど、この和歌は、私が子どもの頃に、教会の玄関にかかっていた日めくりカレンダーに書かれていたものです。

どなたが詠まれたものかと言いますと、今の教主金光様のお父様にあたる、四代金光様が詠まれた和歌です。

「春風に似たる心を持ちたしと 吹く春風に吹かれつつ思ふ」
この和歌に初めて出会ったのは、小学校高学年くらいの頃だったと思いますが、この和歌の明るい雰囲気に「なんかこのうた好きだな」と思ったのが最初です。

その後、毎月、この和歌のページがくると嬉しい気持ちになっていました。かと言って、この和歌のように「春風のような心」になることを心がけて行動する、ということはなかなかできなくて、親にはずいぶん反抗もしましたし、心配もかけました。

できるできないに関わらず、ずっと心の中にあって、何かの拍子にふっと心に浮かぶ、私にとってそんな存在の和歌です。

「春風のような心」とはどんな心かな、どんな人が春風みたいかなと考えると、私の夫の父の笑顔が思い浮かぶんです。

義父は、埼玉県浦和教会の三代教会長で、松本眞弘(まひろ)先生と言います。6年前に亡くなりましたが、浦和教会に参拝すると、いつもお広前にいらっしゃって、にこにこして「やぁ、よく来たね」と、とても温かい笑顔で迎えて下さっていました。

私は、今でもそうなんですが、何かとくよくよと思い悩むことが多く、そういう自分自身の心が助からなければ教会の御用にならないと思い、ある時先生にお取次ぎをいただきました。先生はだまってじっと聞いてくださり、こういうことを仰いました。

「まず起こってきたことを心静かに受けることだよ。じたばたしないでとにかく受けさせていただくこと。そうやって受ける稽古を積み重ねることで、自ら光を発するということができてくるんだよ」ということを仰ってくださいました。

困ったことや嫌なことが起こった時におろおろじたばたしないで心静かに受ける、なかなか難しいことですよね。それは今でもなかなかできません。

今から13年前のことです。長女が中学1年生の頃、いじめに遭っていました。相手は、他の小学校から来たA子さんで、最初は仲良くしていたんです。ある時、長女がお友達と好きな子を教えあったそうなんです。そのことをA子さんが知って「あの子の好きな子って誰?」って娘に聞いてきたんです。でもお互い「他の子には言わないでね」と約束していたので、娘は言わなかったんです。

そしたら、それからA子さんからいじめられるようになりました。睨んだり無視をしたりは当たり前、すれ違いざまに「死ね」とか「キモイんだよ」とか言ってきたり、カバンを蹴ったりしてきたそうです。その子だけならまだしも、それがきっかけになって、同じ小学校から入学して同じ部活に入り、学校の登下校も一緒にしていた3人のお友だちからも仲間はずれにされるようになってしまいました。

毎朝、部活の朝練で7時頃に家を出て、部活がすんで帰ってくるのは夜の7時半頃でしたが、家に帰ってくるまで「今ごろどうしてるだろうか」と心配でたまりませんでした。他の小学校から来た子からのいじめもつらいですが、同じ小学校から入学して、それまで仲良くしていた子達からの仲間はずれの方が更に辛いですよね。何を言っても無視をされるかはやしたてるようなことを言われていたようです。

そのことを娘から聞いて、親子で一緒に浦和教会にお参りしてお取次をいただいたり、学校から帰ってきたらお広前で長女の話を聞いたりして、一緒にご祈念をしました。そして、相手を責めないように、「どうぞお互いが立ち行きますように」と願っていました。

しかし、日が経つうちにこれはちょっとひどいなと思うことがだんだんと多くなってきたので、担任の先生に相談ました。そしたら「いじめなんかする方がバカなのよ。ほおっておけばそのうちやめるよ」と言って何の対応もしてくれませんでした。

娘もしばらくは「自分達で話し合って解決するから」とがんばっていましたが、泣いて帰ることも増えて、そのストレスからめまいと吐き気で立ち上がれないような状態になったこともありました。

それである時、そのうちの一人の子のお母さんに電話をして様子を聞いてみました。その時、相手のお母さんから言われたのは「しばらくは距離を置いたほうがいいかもね」という言葉でした。娘さんからは、うちの娘が悪いとしか聞いていないでしょうけど、私はその時突き放されたような気がしました。

でも、それ以上は、却ってこじれてしまうと思い、「そうですね。わかりました。ありがとうございました」と電話を切りましたが、「この方とはもう、この話をすることはないな」と悔しいと言うか、残念と言うかそういう思いでした。

その翌朝のことです。私には徳がないですから、私が神様にお願いするのではなく、御霊様におすがりして神様にお取次ぎを願うしかないと思いました。

私の信心の師匠である、大分県の豊前四日市という教会の前の教会長伊藤ツタヱ先生という先生の御霊様にお願いしました。

「親先生、日頃、親先生の御霊様に喜んでいただけるような信心もご用もできていないのに、こんな時ばかりお願いするなんて本当に勝手で申し訳ありません。でも、今娘がとても苦しんでいます。どうぞ、助けてください。どうぞ、娘のいのちが生き生きとできますように。お友達共々、立ち行きますように。どうぞ神様にお取次ぎお願い申し上げます」と、私自身には徳がないので、伊藤先生の御霊様のお徳におすがりして助けていただくしかないと必死でした。朝ご祈念でそうお願いさせていただいた後、用があってお使いに出ました。

その時に、後ろの方から「あれ?おはよう」と声が聞こえて振り返って見ると、前の日の夜に電話でお話をした相手の方でした。私は「もう話すことはない」と思っていたので、すぐ会うなんて本当にびっくりしました。お互いに朝の忙しい時間だったので、ゆっくりと話をしている時間はなかったのですが、それでも10分弱くらいはお話ができました。

話しをしたら、決してこちらを一方的に責めているのではなく、その方のお子さんも小学生の頃にひどいいじめにあっていたそうで、そのことは娘から聞いてはいましたが、その時の経験から、「ちょっと距離を置いたほうがいい」という言葉になったということがわかりました。

朝、御霊様にお願いして、その直後のことでした。

「相手を責めてはいけないよ」と御霊様が仰って下さっているようで、そういう御霊様のお働きをはっきりと見せていただいて本当にありがたくて、その夜、学校から帰ってきた娘に話して、改めて親子で御礼申しました。
その後、すぐに状況が変わったわけではありませんが、夏休みに入ったこともあって、部活はありましたが、それこそ少し距離をおくこともでき、だんだんとですが少しずつ落ち着いてきました。そして冬になる頃には何事もなかったかのようにお互い遊びに行ったり来たりするようになり、それから13年が経った今でも、その子達とは仲良くお付き合いをしています。

後になってから「よくあの時学校休まなかったね」と言ったら「一回休んだら次行けなくなると思ったから」と言っておりましたが、13歳の子どもなりに必死に乗り越えようとしていたんだなと胸が締め付けられるような思いでした。

教祖様のみ教えに「わが心でわが身を救い助けよ」という言葉があります。

同じひとつのできごとでも、Aさんから見たこととBさんから見たことでは全く違うことのように受け取られることがあります。そして受け取り方によっては、その後の展開が全く違ってくるわけです。

腹が立ったり、おろおろしたり、悲しんだり、辛いできごとであったり、そのことに心がとらわれてしまっている時は、とても苦しいですよね。

喜怒哀楽の感情というのは誰にでもあって、とても大切なものですが、ただ、それにとらわれて行動まで左右されてしまっているということでは、神様や御霊様は「ちょっと待って」と仰っているんではないかと思います。
そういう時には、神様や御霊様のお力をちょっとお借りするんです。自分ひとりではなかなか難しいので、ご縁のある教会の先生や、こちらで辻井先生に聞いていただくんです。

「今こんなことがあってこんな風に困っています」とか「腹が立っています」とか「迷っています」とか何でもいいんですが、それを金光教では「お取次をいただく」と言います。

お取次をいただくと、物事の見え方が少しずつ変わってきます。同じできごとの中にあっても、心が落ち着いてきます。お取次をいただいて、神様にご祈念をさせていただくことで、波立った心が少しずつ落ち着いてきます。

そしてまた目の前のことに向かうことができるようになります。

お取次をいただいて、心と体を整えて、生きる力をいただいていくのが金光教の信心です。
どうぞ日常の生活の中で、神様とお近づきになってください。

そして、神様にお喜びいただける社会のお役に立つことができますよう、祈念しております。

Comment & Trackback

Comments and Trackback are closed.

No comments.