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集団的自衛権

 自民党の総裁候補は揃って「集団的自衛権の行使を認めるべき」と主張している。中でも積極的な石破氏は「日本は助けてもらうが、他国がやられても助けないというのは非常識だ」と友達がやられているのに見て見ぬふりができるかと情緒的なことを言っている。

 安倍氏はもっと具体的に「日米同盟を強化するため、公海上で、アメリカ艦船が攻撃された場合に、近くにいる自衛隊の艦船が反撃できるようにするなど、集団的自衛権の行使についての憲法解釈を変えるべきだ」と主張している。

 これはそう簡単な問題ではない。何か日本が軍事介入すればすぐに解決できるような印象を受けるが、集団的自衛権の発動はまさに戦争なのだ。それも自衛とは違う米国の戦争に巻き込まれる危険性が大なのである。

 集団的自衛権が生まれた背景には、東西冷戦下における国際情勢の中で、米国など大国が合法的に軍事行動をとるための免罪符として作り出されたとの指摘がある。実際に過去の歴史を振り返るとそのことがわかる。

 

ハンガリー動乱(1956年 ソ連)
レバノン派兵(1958年 アメリカ)
ヨルダン派兵(1958年 イギリス)
チェコスロバキア「プラハの春」(1968年 ソ連)
ドミニカ軍事介入(1965年 アメリカ)
ベトナム戦争(1965年 アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなど)
アフガニスタン軍事介入(1979年 ソ連)
チャドへ派兵(1983年 フランス)
ニカラグア軍事介入(1985年 アメリカ)

 

 これらは全て集団的自衛権としての戦争や軍事介入である。これを踏まえれば、自民党総裁候補が主張している権利は、自衛を飛び越えて、米国の行う戦争に日本の自衛隊が協力する、つまり参戦する根拠に使われるのである。まさに実質上「戦争ができる国」となり、その先に本丸の改憲が待っているのだ。

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