善意の連係プレー

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 この時期は必ず折りたたみ傘を鞄に入れて持ち歩く。安物はすぐに壊れるので、最近思い切って買ったやつだ。ビジネスバックの一番表側のところに入れているが、頭の柄の部分だけは外に出てしまっている。
 
 先日出張の帰り、寮での所用の時間に遅れそうになり、急いで帰っていた時のこと。武蔵小金井駅のホームに着くや、私は小走りでエスカレーターを降り、改札に向けてさらにスピードをアップしかけた。その時、後ろから追いかけてくる足音が聞こえたかと思ったら、肩をとんとんとたたかれた。振り返るとある女性。

 私はとっさに「あ、傘を落とした」と気がついた。エスカレーターの途中くらいで何か音がしたなと思っていたからだ。その方向を見ると、別の女性の方が傘を高く上げながら「これこれ」と合図して持ってきてくれた。深く頭を下げて「すみません、ありがとうございます」とお礼を言った。最初の女性の姿はもうなかった。

 実はその日、代々木にある国立オリンピック記念青少年総合センターで行われた「東京平和映画祭」の帰りだった。この時、もしこのお二人の連携がなければ、さっさと駅の外に出てしまう私を見失い、傘を駅に預けるしかなかっただろう。   

 そのまま帰った私は、恐らく傘を落としたことにも気がつかず、認識するのは最短で次の日の朝であったろう。その時にはエスカレーターでのかすかな音などは忘れてしまい、まずは代々木の施設や新宿からのバスの中かもと、遠い方から順番に探すことになったであろう。

 その労力を思うと、このお互いに知らない女性二人の善意の連携に大変助けられた。一人の方は傘が落ちた瞬間に「まずは私を捕まえなければ」と、とっさの判断で追いかけてくれ、一人の方はしっかりと拾ってくれたことと思う。どこのどなたかは存じ上げないが、深く感謝申し上げる次第である。

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このページは、つっさんが2010年7月11日 13:06に書いたブログ記事です。

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