相変わらず「不景気」と「経済成長」という言葉が賑わっているが、経済規模だけで幸福がはかれるのか。あまりにお金という価値に縛られすぎていて、将来や老後に不安を感じお金を使うことができず、逆に不景気になっているのでは?
経済規模の計測は、一般的に国内総生産(GDP)を用いる。しかし、このGDPは人間の幸福や満足に関わりなく、金が動くとすべて経済効果に足してしまうそうだ。戦争や交通事故、自殺、離婚も経済効果にプラスになる。逆に、家事、育児、介護などの家庭内のやりとりは支払いが生じないのでGDPに加算されないのだ。経済成長率だけで幸福度を測るのは何かおかしいのではないか。
あのブータン王国の人たちは、なんと97%が感じているそうだ。ブータン王国は物質的な豊かさを否定し、独自に策定したGNH・英: Gross National Happiness(国民総幸福量)を用いている。これは GNP で示されるような、金銭的・物質的豊かさを目指すのではなく、精神的な豊かさ、つまり幸福を目指すべきだとする考えから生まれたもの。
①心理的幸福、②健康、③教育、④文化、⑤環境、⑥コミュニティー、⑦良い統治、⑧生活水準、⑨自分の時間の使い方の9つの構成要素を持って測定しているとのことだ。
その思想や価値の根底にあるのが、互恵互助。つまりお互いに助け合うことだ。私が提唱している三つの「お」の一つ、お互い様がまさにこれ。首都のティンプーには職のない若者も少なからずいるが、物乞いやホームレスは一切いないそうだ。貧しい人がいればみんなで助け合う。
現在の日本の考え方は、自由に何でもしてもいいが、自己責任。将来誰も助けてくれないから、自分で何とかしておかなければとさらなるお金を求め、貯めようとする。結局経済も回らない。
いつも指摘するように自立や自由の意味をはき違えてしまった。自立した人間が助け合うのではなくて、助け合ってこそ、はじめて自立できる存在なのだ。人という字の成り立ちや「間」という字が入っているのもその本質をついている。人と人とのつながりはどこまでも大事。今日常識となっている価値観を見つめ直す時期にきていると思う。
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