熱田教会信徒会講演会 終

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  次に「気仙沼ボランティア活動での寮生との接し方」について、これはもう気仙沼教会教会長先生ご夫妻、教会がある南町の自治会館である紫会館(自治会館)の被災者の皆さまやその町会役員、リーダーの皆さま、金光教首都圏ボランティア機構の現地スタッフの方々、そして全国から馳せ参じたボランティアの仲間たちに本当にお世話になって、多くの人生上の糧を頂いた。

 当熱田教会のご子息とも数日間一緒にボランティア活動をさせて頂いた。また、当教会のフォーゲルのリーダーであるK君とは、私は入れ違いになって確か一日だけだったが、その後現地スタッフから素晴らしい活動を展開されつつあると聞いた。

 それは写真や位牌など遺留品をきれいにして持ち主に戻すというボランティアだ。自衛隊の方が、遺留品を唐桑体育館というところに運び入れる。その中で特に写真アルバムの再整理化に従事してきている。ヘドロや海水で汚れたアルバムから、一旦、写真を取り出して水で洗い、乾燥させて再アルバム化する。地元の方が中心に6月から立ち上げ、今日までずっと展開してきている。

 そのお手伝いに私たち金光教のボランティアも多くの人が携わっている。その写真であるが、状態の悪い状態で、顔の部分などがほとんどとれてしまい判明がつかないものは、ご供養といってお寺で焼かれるそうだ。そこでアーティストを目指しているK君は、その写真を組み合わせて一つの作品として個展を開きたいと提案された。「焼いてしまう写真達に、違う形で命を吹き込み生かしたい。そして、より多くの人に東北での事を知って欲しい」と。

 ただのゴミになってしまいそうな写真を単なる物として見なくて、そこにいのち、そこに映っていた人の心、写真を撮った人の心を感じている。もっといえば神様を感じている。だからいのちを吹き込みたいと。私はこの話を聞いて本当に素晴らしいことだと思った。どんな作品になるか楽しみである。

 それからわが寮生たちも15人程度が参加し、長い人で一月以上、そして何度も参加してくれた寮生もいる。その中でホテル一景閣というご信者の経営するホテルが2階まで海水に完全に浸かり、現在再開に向けて高圧洗浄や掃除のボランテイア活動をもう何日も入って展開している。

 その中で食器洗いのお手伝いをしたIさんが帰ってきてのボランティア報告会で本当にいい感想を述べていた。私も同じことをさせて頂いたことがあるが、食器洗いといってもヘドロや貝の腐ったようなものがこびりついており、臭いも凄まじい。それをただひたすら金たわしなどで汚れが完全におちるまで洗う。正直最後は疲れ果ててしまう。

 そのような中でIさんは、「この食器は、これまで何人者の方に料理を提供していろんな人と共に過ごし、喜ばれてきたであろう。その食器たちがたくさんロッカーに並べられ、次の出会いを待っている。普通の生活ではただの道具としか思わないが、この場では歴史が一杯詰まっている食器だと愛着を感じ、その食器一つひとつが小さな神様と思え、神様が一杯いると感じた。その手助けをさせていただく運命を感じ、どうぞここからいい出会いができますように祈りながら洗った」と。

 この感想には本当にまいったと思った。先のK君にしろ、Iさんにしろ、作業としては単純作業でなかなかしんどいものがある。その中で何でもない物に「いのち」を見、「いのち」を感じ取っている。これは普通のボランティアではなかなか出てこない提案や感想ではないか。金光教の信心をさせて頂いている人ならではと感じ入った次第である。

 「信心の継承」というテーマを頂いたが、なかなかそのテーマに添えず申し訳ない。ただ、若者や子供に何かを伝えたい時には、抽象的な理屈やこうしなければならないとか、こうすべきというルール、道徳のレベルではなくて、感情や気持ちという「実感」のレベルでつきあう。そしてその時の価値基準は、善悪、正邪でなくて、「本物」かどうか、「本当」はどうかというところにおく。いわば、本音のつきあい、裸のつきあいをしていけば、自ずと大事なものは伝わると思う。(おわり)

※以上のような話をさせていただきましたが、当日お話した個人の問題にかかわる具体的な話は省略して、時間の関係で話せなかった内容を少し付け加えているなど加筆、訂正していることをお断り申し上げます。

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このページは、つっさんが2011年10月 8日 09:04に書いたブログ記事です。

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