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「人間がいなくなってしまえば・・・・・」

 「子々孫々どうなるか、歴史に対する責任がありますね。いったい、安全性は確立したんですか。人間がいなくなってしまえば、電気も必要なくなるでしょう。ちがいますか」 これは『日本の原発危険地帯』という本の中にある言葉で、中国電力による島根県の原発設置をめぐる取材で、地元の漁業関係者が著者の鎌田氏に語られた言葉だそうだ。(『毎日新聞』5.10付15面 みんなの広場「地震国・日本で原発は成り立つか」より)

 同じ『毎日新聞』本日付4面の『週刊新潮』の広告に、「『原発ゼロ』なら日本はどうなるか!火力と水力をフル稼働なら電力料金は跳ねあがり、食卓から冷凍食品が消える」とある。記事の中身を読んでないので軽々には言えないが、これだけみると「原子力を認めなければ大変なことになるよ」と脅しているようにもとれる。

 しかし、冒頭の漁師さんの、「人間がいなくなってしまえば、電気も必要なくなるでしょう。ちがいますか」のお言葉は非常に重たく響いてくる。それが当たり前のことなのだ。そして、現実に福島原発周辺に人間がいなくなっている。私は原発問題を考えるときには、少なくとも便利さ、快適さや経済効率という今ある豊かさではなくて、人間個々人の命の大切さ、尊さを根本に据えなければならないと思う。