Home > 5月 22nd, 2014

『三酔人経綸問答』

shiryou-22[1]

 中江兆民著書の『三酔人経綸問答』に、軍事攻撃への対応についての議論が出てくる。

 酒と政治談義が好きな南海先生を、洋風の頭脳明晰な紳士君と羽織を着た居丈高な豪傑君が訪ねた。

 非武装主義の紳士君は「弾に当たって死ぬだけ」と答え、豪傑君は積極的に「侵略」戦争に打って出るべきだと反論した。

 さて南海先生はいずれも極端だと退け、「徹底抗戦はすべきだが世界のどの国とも平和友好関係を深め、万やむを得ない場合になっても、あくまで防衛戦略を採るべきだ」と説いたそうだ。

 これが1928年(昭和3年)世界が不戦条約を結ぶより40年前、1894年(明治27年)日清戦争の7年前、今から何と127年前の議論だから驚く。(『東京新聞』夕刊5月22日「三酔人に聞いてみたい」野村修也中央大法科大学院教授 参照)

 127年も経ているのに「集団的自衛権」論議と構図は全く同じ。未来に教訓としなければならない出来事は何度も経験しているのに進歩がない。それだけ平和実現は困難なことともいえるが、諦めるわけにはいかない。