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いじめ問題

 大津市の市立中学校のいじめ問題について、全国に波紋が拡がっている。あちこちで警察への訴えが出されているらしい。もうずっと以前私は、いじめを含めた学校における教育について、「安易に警察権力に頼るようなら、その当事者能力をますます弱めてしまう」と指摘したことがあった。

 いじめが犯罪と同様になっている今、仕方ないのかもしれない。少し前に『朝日新聞』において、「いじめている君へ」という連載があった。その最後に登場したタレントの春名風花さんの文章にはショックを受けた。

 小学校6年生で、「タレントだけど、ふつうの女の子です」と始まり、「いじめている子は、自分がいじめっ子だなんて思ってないから」という。そして「いくら泣こうが、本当に自殺しようが、その人たちが何も感じないことを知っている。いじめられた子が苦しんで、泣いて、死んでも、いじめた子は変わらず明日も笑ってご飯を食べる。いじめた人には『どうでもいいこと』なんです」と。

 私の中学時代、中高一貫で、100人もいた金光学園寄宿舎でもいじめはあった。必ずや誰かがターゲットになってしまい、何かと嫌がらせやいたずらがその個人に集中する。いじめている方は、次は自分がいじめられるのではと恐れて多数派につく。しかし、そこには罪悪感はあり、他の人もそうだったと思う。

 だからこの風花ちゃんの文章を最初読んだ時は、自殺抑止のために強く、極端に意見しているのかと思った。しかし、いやこれは本当のことではないかと思い始めた。ゆえの衝撃である。想像するだけで鳥肌が立ちそうになるくらいだ。死なれても何も感じないとなると、これはもう異常な戦闘状態か、すでに人間でないのだ。

 こうなってくると、犯罪級であるから警察が出張ってくるのは致し方がない。しかし、すでに人間ではないのだ。警察の介入によって一時的にはおさまるかもしれないが、根本的な解決にならないのは目に見えている。やはりいじめの根絶は教育でしかない。それも人間のいのちに深く関わる実践的な平和、人間教育が必要なのではないか。ことは急ぐのである。 

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