地震との共生?

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 昨日は、東京品川で開催された金光教信徒会主催の北4ブロックの信心研修会に参加した。基調講演として、名古屋大学減災連携研究センター武村雅之教授の「関東大震災と東京」~地震との共生をめざして~と題してのお話があった。

 サブタイトルに「地震との共生」とあったので、どう共生するのだろうと思ったが、地震学者なのでおそらくはシミュレーションなどコンピューターを駆使した数字的な、科学的な話だろうと失礼ながら予想していたが、全く逆で、そういった考え方を批判する方であり、大変に勉強になった。

 のっけから先生は「震災は、天災でなくて人災である。地震は震災のきっかけでしかない。東日本大震災において亡くなった方の95パーセントは逃げることができた。そのうち、がんとして逃げなかったことによって、多くの方たちを巻き添えにしてしまったことも事実ある。こう言うと亡くなられた方に失礼という人もいるが、生きている私たちはしっかりと事実を直視しなければならない。亡くなられた方々がもし今声を出せたら、ほとんどの人は、『逃げればよかった』と言うであろう」と、刺激的に始まった。

 そして、「理科系の科学者は歴史嫌いであり、歴史学者は科学嫌いであり、全く連携がない。よくNHKなどでやっているコンピューターを駆使してシミュレーションばかりやる方が脚光を浴びるが、全く歴史に学んでない。東京の防災担当者や地震学者自体が関東大震災を全く知らないのである」と批判。それだから「全く教訓が生かされず、同じ過ちを何遍も繰り返している」と。

 例えば、関東大震災の死者数6万9千人中、陸軍被服敞後地で亡くなった数は3万8千人にも及ぶ。この時の火災が襲う前の写真を見ると、わりかし危機感がなく、夕飯の支度や物を売り回っていた者もいたという。もう人でぎっしりで足の踏み場もないように見えるが、この時の人口密度は畳一畳分にひとり程度だったそう。ところが、みんな家財道具を持ち出してきているので密集しているように見える。この家財道具が燃えて、ほとんどの人が二酸化中毒で亡くなったそうだ。

 江戸時代は、家財道具が火災の延焼を促進し、多くのいのちを奪う原因になることが広く知られており、家財道具持ち出しの罰則がある御法度まであった。ところが明治には忘れ去られた。そして1925年に中村清二という人か゛『震災予防調査報告』に、「同じ失敗を何度となく経験しても吾々は一向賢明にならなかったのである。大八車が自動車にかわることはあろうけれども」と過去から未来まで予言している。

 そして先生は言う。「最近、皆さんにも心当たりがあるだろう。そう、3.11の東京である。みんな一斉に帰宅を目指した。そしてどうなったか。首都圏の交通は大混乱。道という道は車で大渋滞。そう、もしここに火災が発生したら?。自動車はガソリン。よくぞ火災が起きなかったことである」。

 さらに「自宅に帰るというのは、比較的危なくない都心から、危険の多い都下に向かって突っ込んでいくとの同じ。帰ってはいけないのである。だから日頃から家族会議を開いて、家族の結束を固めておくことの方がいかに大事かがわかるだろう」と。

 また、隅田川をはさんで反対側の神田和泉町と佐久間町では、日頃からに地域住民の結束が堅く、強い絆があり、お年寄りや子どもたちを避難させ、若者は避難せずに消火活動に専念し、対岸よりは好条件も重なり、被害を最小限にくい止めたそうである。

 先生はその他、阪神大震災や津波、土砂災害などいかに教訓を生かしてないかの具体例を紹介下さり、「そもそもかつては海と山しかないところに地震が起きて、平野ができて、人間が住める場所ができた。地震がなければ人間がないと言っていい」と。

 だからこそ、「防災は、自然との共生を図ること。慈母の愛と厳父の厳しさをわきまえる。それには歴史に学び、教訓を生かすしかない。その上で耐震補強をしっかりとして、常に地域や家族間のつながりをつけておく。つまりは生活を豊かにしておくことの延長線上に地震防災がある」と話され、最後に先生が、日頃から子どもたちを集めて自然との共生や防災について学んでいる中での子どもが言った次の言葉を紹介されて終わられた。  

「一人の百人力より百人の一人力」
「地震は一瞬、恵みは一生」

 その後、気仙沼教会の奥様先生、宇部東の清水さん、生麦の高橋さん、中野の阪本さん、鎌倉の吉岡さんによるパネルディスカッションがあり、それぞれ東日本大震災によって、さらに神様を深く感得し、信心を確立されていった様子を具体的に語られた。改めてお道の信心の素晴らしさを実感させて頂いた一日であった。 

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このページは、つっさんが2012年6月25日 15:59に書いたブログ記事です。

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