Home > 3月 12th, 2005

歴史への疑問の始まり

 一昨日の井本先生へのコメントに思い出した。確か写真をふんだんに使っている「第二次世界大戦シリーズ」といった本だったと思うが、軍服を着た昭和天皇が東京空襲の後に街を視察している写真に衝撃を受けたことである。高校生だったか、大学生だったかその頃だ。

 私たちの世代は右翼までとはいかないが、そういう思想的なものでなく、単に「戦争物好き」がことのほか多い。雑誌の『丸』をよく読み、プラモデルのウォーターシリーズで日本海軍連合艦隊の軍艦の名前などにくわしいのだ。先日京都でのFNETセミナーに来ていた同級生の方も、戦争映画など戦争物が好きと言っていた。
  
 私も最初に読んだ本が右がかった『日本の歴史』という子供向けの分厚い本で、最初に読んだ雑誌が先程の『丸』、最初に買ってもらったレコードが『日本軍歌大全集』と、何とも「軍神広瀬中佐」とか、「木口ラッパ兵」とか、ことのほかくわしかった。かつて私を知っている人が、私を右翼と呼ぶ所以である。

 ところが、先の昭和天皇の写真を見たときが私の歴史への疑問の始まりだったように思う。確か岡山か東京へ行く長距離電車の中で読み、到着するまで何時間もこの事実はいったい何だったのかと心に深く刻まれたことを思い出す。

 戦争物が好きだからといって好戦的な国粋主義ではないが、その時代時代の影響はもろに受ける。故に大事なのは歴史教育だ。よく「○○史観」と言われるが、ある一つの価値観に基づいて歴史を構築し、その一つに偏ったときは必ずその社会は崩壊している。まだまだ昭和史は明らかにされてない。下手に国家主義的な風潮に流されている今日、つっこんだいい研究成果に期待したい。