非戦平和学習会発題概要 5 資料編
以下は、当日レジメの後につけた参考資料です。安保関連法よりも、ここに掲げた『戦争絶滅請け合い法案』を通した方がよほど戦争の抑止力になると思います。王様は戦争に行かないから、王様をなくしたら戦争にならないと考えたが甘かった。だったら、国家元首である大統領や総理大臣に「真っ先に戦争に行ってもらったら」という案は、戦争の本質を突いていると思います。第五条は私たちも他人事ではありません。「戦争プロパガンダ10の法則」もまさに正鵠を得ています。よくよく注意したいですね。
最後に参考にした文献、お勧めの文献を新しい順に掲載しています。ぜひお読みください。
非戦平和学習会時参考資料
『不戦条約』 1928(昭和3)年8月27日
「第1条 締約国は、国際紛争解決のために戦争に訴えることを非難し、かつ、その相互の関係において国家政策の手段として戦争を放棄することを、その各々の人民の名において厳粛に宣言する」
「武力不行使原則」 1945(昭和20)年6月26日
国連憲章2条
4 すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。
集団安全保障
国連憲章42条
安全保障理事会は、第四十一条に定める措置では不充分であろうと認め、又は不充分なことが判明したと認めるときは、国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍又は陸軍の行動をとることができる。この行動は、国際連合加盟国の空軍、海軍又は陸軍による示威、封鎖その他の行動を含むことができる。
国連憲章43条
3 前記の協定は、安全保障理事会の発議によつて、なるべくすみやかに交渉する。この協定は、安全保障理事会と加盟国との間又は安全保障理事会と加盟国群との間に締結され、且つ、署名国によつて各自の憲法上の手続に従つて批准されなければならない。
自衛権
国連憲章51条
この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当つて加盟国がとつた措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲
「戦争の放棄」 1947(昭和22)年5月3日
憲法9条
1.日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
国際平和支援法
国際社会の平和及び安全の確保のために共同して対処する諸外国軍隊に対する支援活動の実施
平和安全法制整備法
我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律
1.自衛隊法
2.国際平和協力法
国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律
3.周辺事態安全確保法→ 重要影響事態安全確保法に変更
重要影響事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律
4.船舶検査活動法
重要影響事態等に際して実施する船舶検査活動に関する法律
5.事態対処法
武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和及び独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律
6.米軍行動関連措置法→ 米軍等行動関連措置法に変更
武力攻撃事態等及び存立危機事態におけるアメリカ合衆国等の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律
7.特定公共施設利用法
武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律
8.海上輸送規制法
武力攻撃事態及び存立危機事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律
9.捕虜取扱い法
武力攻撃事態及び存立危機事態における捕虜等の取扱いに関する法律
10.国家安全保障会議設置法
「お詫び」の祈り 福嶋儀兵衛に関する伝承 (伝 福嶋真喜一)
大本社の庭に居り立った儀兵衛はそのたたずまいの聞きしにまさる清楚さにこころを打たれた。宮らしき何の飾りも施設もないひなびた百姓家である。土間に立つ「天下太平諸国成就天下総氏子身上安全」と認められた幟が鮮やかに儀兵衛の目を射った。生神さまがここ居ますの思いが身に迫るのであった。
一両日何かとご理解を承り、いよいよ御広前を辞し帰路につこうとしてあとふりかえる儀兵衛の目に幟の文字があらためて天地乃神の又なき御神願として、拝まれ、終日神前に端座され、御取次に余念あれせられぬ金光大神の御姿が尊く仰がれるのであった。ここに導かれ参りあわせた御神縁、頂いた御信心が並々ならぬものであることを思うと共に、おのれに寄せられる御神意が奈辺にあるかを反芻せられずにおれなかった。
大本社に詣る度に、儀兵衛の目をひき心を打ったものの一つに、この「天下太平諸国成就」「総氏子身上安全」という幟があった。
金光大神様の御祈念の詞を承り、日々御祈念下されているそのご様子を伺うに及んで、改めてその幟に認められている神の願いのだいならぬさまを痛感させられた。
これまで眺めていた幟、読んでいた文字が神願そのものとして、わが身をつつみ、わが心をとらえ、おのれ自身がその願いの真っ只中にあらしめられ、生かされ、その願いのままに生きずにおれなくなっていくのを覚えた。飢饉にさいなまれる村人の中に生い立ち血なまぐさい争乱の世を過ごしてきた儀兵衛の心底には、いつのほどにか幟にみる願いが芽生え育っていたのである。
(中略)
北清事変を経て日露の間に戦火が交えられるようになりその災禍の甚大さはこれまでの比でなかった。儀兵衛は金光大神の身をもって示された神願を日々祈願し続けていたが、時に思いあまることもあったのであろう。ふと家人に、「勝った負けたと話なさるが、どちらにしてもそのかげには、敵も味方も沢山の人が死に傷ついている。また山野もこわされ、多くのものが廃っていく、神さまの氏子が殺し合い神さまのお恵みがお粗末になってゆくとは勿体ない事じゃ、神さまもおなげきじゃ、まことに相すまんことじゃ、なんとおことわりお詫びをもうしてよいやら」ともらすのであった。
明治37年5月13日真砂教会の教徒の息子が旅順港で戦死した。24歳の若人が御国のためとはいえその尊い生命を失った。一般世人はその戦功を称え、その栄誉をほめるのであったが、両親にとってはこの上ない悲しみであった。儀兵衛はその悲しみに耐える両親の姿を見るにつけて、ありし日の面影、とりわけ広前に参っていた若くたのもしい姿が偲ばれ、戦いのさけえられぬ悲しみを深くかみしめるのであった。
かつて御本社に於いて仰いだ幟の文字を思い浮かべ、心より御神願の成就を願い、神意に逆らい、聖慮を悩まし続ける悲しい人間の所作を詫びるのであった
『戦争絶滅請け合い法案』
法案は100年くらい前、デンマーク陸軍大将が、世界から戦争を無くそうと「戦争絶滅請け合い法」という法律をヨーロッパの各国議会に提案した。日本でも1929(昭和4)年に雑誌で紹介されている。
それは、「戦争が始まったら10時間以内に次の人から最前線に一兵卒として送られる。
第一に国家元首
第二に国家元首の男性親族で16歳以上の者
第三に総理大臣、国務大臣、官僚のトップ
第四に国会議員(但し戦争に反対した議員は除く)
第五にキリスト教その他の高僧であって、公然と戦争に反対しなかった者」
『戦争プロパガンダ10の法則』
民主主義国家になれば、戦争は起こらず、しないはずだった。ところがさにあらずである。民主主義社会にあっては、国民の支持がなければ戦争を始めることができない。それではどう国民を戦争へと向かわすのか。アンヌ・モレル氏は、第1次大戦から湾岸戦争までの指導者の主張に一定の法則があると、『戦争プロパガンダ10の法則』にまとめている。
第1の法則「われわれは戦争をしたくない」
第2の法則「しかし敵側が一方的に戦争を望んだ」
第3の法則「敵の指導者は悪魔のような人間だ」
第4の法則「われわれは領土や覇権のためではなく、偉大な使命のために戦う」
第5の法則「われわれも誤って犠牲を出すことがある。だが敵はわざと残虐行為に及んでいる」
第6の法則「敵は卑劣な兵器や戦略を用いている」
第7の法則「われわれの受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大」
第8の法則「芸術家や知識人も正義の戦いを支持している」
第9の法則「われわれの大義は神聖なものである」
第10の法則「この正義に疑問を投げかけるものは裏切り者である」
参考文献
伊藤 剛『なぜ戦争は伝わりやすく、平和は伝わりにくいのか』(光文社新書、2015.7.20)
森 達也『すべての戦争は自衛意識から始まる』(ダイヤモンド社、2015.1.29)
木村草太『テレビが伝えない憲法の話』(PHP新書、2014.5.2)
松竹伸幸『憲法九条の軍事戦略』(平凡社新書、2013.4.15)
松元雅和『平和主義とは何か』(中公新書、2013.3.25)
孫崎 享『これから世界はどうなるか』(ちくま新書、2013.2.10)
小熊英二『社会を変えるには』(講談社現代新書、2012.8.20)
高橋哲哉『犠牲のシステム 福島・沖縄』(集英社新書、2012.1.22)
伊勢崎賢治『紛争屋の外交論』(NHK出版新書、2011.3.10)
加藤陽子『それでも日本人は「戦争」を選んだ』(朝日出版社、2009.10.20)
島本慈子『戦争で死ぬ、ということ』(岩波新書、2006.7.20)
アマルティア・セン『人間の安全保障』(集英社新書、2006.1.22)
長谷部恭男『憲法と平和を問いなおす』(ちくま新書、2004.4.10)
浅井基文『集団的自衛権と日本国憲法』(集英社新書、2004.1.25)
藤原帰一『「正しい」戦争は本当にあるのか』(ロッキング・オン、2003.12.5)
加藤尚武『戦争倫理学』(ちくま新書、2003.1.20)
加藤陽子『戦争の日本近現代史』(講談社現代新書、2002.3.19)
藤原帰一『戦争を記憶する』(講談社現代新書、2001.2.20)